《1》 ランプベースの基礎知識
ステンドグラス シェードをもつ所謂ティファニーランプの土台になる部分をランプベースと言います。
ティファニーの時代の初期は、中にオイルを入れることが出来て、上部に芯を出し、オイルを燃焼させて光源としていましたが、
後にほとんど電灯に代わりました。
ベースには、国産、輸入品、さまざまな形・サイズがあります。
取り付ける電球の数も1個から3個、5個と様々です。
全体の高さが50cm程度までが、テーブルランプといい、1m以上はフロアランプといいます。
1灯式(電球が1個)のテーブルランプの基本的な構造は下図のとおりです。
ベース部分の材質は、ブロンズ、亜鉛、鉄、真鍮、陶器、木、高比重樹脂などがあります。
ベースの上には、シェードを支える針金のようなハープが付き、
その上にニップルという中空ネジを中心とした金具類が付きます。
実は、ティファニーランプを作り始めた人が、一番混乱させられるのが、この頂上の金具部分です。
電気配線も厄介な課題です。
ですので、慣れるまではソケットやケーブルがあらかじめ付いた「配線済みベース」を買って下さい。
もし未配線のベースをお持ちでしたら、
《ランプベースの配線》
を参考に、自力での配線にチャレンジしてみてはいかがでしょう。
また、直径30cm程度のシェードでは1灯式で十分ですが、直径40cm以上では、3灯式がきれいです。
ベースの高さ(全高)は、チューダーモールドの場合、シェードの直径プラス10〜20cmが目安です。
今回用意したベースは全高38cmですから、少々低目といえます。
なお、《ランプベースの基礎と選定ガイド》
も一度ご覧になってみて下さい。
《2》 ニップル関係金具の基礎知識
ベースとシェードを繋ぐ重要な金具について、下図を用いて説明をします。
まず用語ですが、メインは外径10mmのニップルといわれる中空ネジです。
このネジは、中にケーブルを通すことが出来ます。
次に、このニップルにセットとなるナット(丸いロックナットと六角ナット)と菊座金です。
ブッシングは、ニップルの端部につけてケーブルを通すときに傷がつかないようにするための保護パーツです(今回は使用しません)。
ぎぼしは、ニップルの頂上に付けてキャップを固定するための飾りネジです。
左側が国産グループ、右側が輸入品グループ(KSLシリーズ等のインチ規格)です。
このように金具類には、国産品、輸入品など、数種類の規格(サイズ)が存在し、相互に互換性がありません。
下の写真では、左右のグループのニップルは一見同じ径に見えますが、
ネジピッチがわずかに違うため相互に部品の混用が出来ません。
これらの金具類は、単品で買おうとすると、国産品しか手に入りません。
輸入品は、あくまで輸入ベースを買ったときの付属品としてついてくるものだけです。
私は、安価な輸入ベースを買っても、この金具部分だけは、ごっそり国産に取り替えることが多いです。
その理由として、輸入ベースに付属しているニップルが、短すぎることが多いからです。
上の写真はほんの一例でしかありません。
他にも、ハープの上にニップルではなく細い雄ネジがちょこんと付いている輸入ベース(TBLシリーズ、MBシリーズなど)もあります。
下の写真は、クラシックアメリカンMBシリーズです。ハープの頂上にはニップルではなく、直径約6mmの雄ネジが固定されています。
ぎぼしも、専用のものが付属しています。このベースを用いた制作例を、
付記1に
載せておきます。
その他にも、ティファニーランプのレプリカパーツやオディッセイシリーズなどでも、金具セットは独特の規格です。
迷った場合は、配線済みの国産ベースを買うのが無難でしょう。
《3》 電球の基礎知識
白熱電球にも色々な種類があります。まず口金(ソケットに差し込むネジの部分)のサイズですが、
大きいものから順にE26、E17、E12の3種類が一般的です。
ちなみにアルファベットのEは電球を発明したエジソンに由来しています。
今回のベースに付属しているソケットはE17です。
次に、ガラスの透過性で言うと、クリア球とホワイト(フロストとも言う)球があります。
前者はフィラメントが丸見えで、点灯すると眩しいですが、クラシックな味わいが有り、ティファニーランプに向いています。
後者は、家庭の一般的な照明に用いる柔らかな光ですが、ティファニーランプには向いていません。
明るさ(ワット数)の分類では、25W、40W、60Wあたりが良く使われるものです。
数値が大きいほど明るく、消費電力が大きいです。
形状の分類では、、縦長で滴型のシャンデリア球、まん丸のボール球などがあります。
電球型の蛍光灯は、大きいですが省エネを追求するなら有効です。電球型のLEDはさらに省エネで良いすが、
光の広がりが悪く、電球前面ばかりが明るいので、選ぶときに気をつけてください。
何を使ったらよいのか迷ったら、まずベースの口金サイズを確認し、40Wのクリア球あたりを200円程度で買えばよいかと思います。
《4》 ランプの組み立て
いよいよテーブルランプの組み立てです。今回用意したベースは、輸入ベース(配線済み)です。
調べてみると付属していたニップルの長さが35mmと短くて使い物にならないことがわかりました。
ですので、この部分だけ、国産金具にごっそり交換することにします。
最初についていたニップルを外し、45mm長の国産ニップルを、ナットでハープ頂上に固定します。
写真では丸いロックナットですが、六角ナットの方が回しやすいので良いです。
次にホイールをニップルに通し、またナットでこれを固定します。
その上からシェードをかぶせて、がたやぐらつきが無いか確かめます。もし、ホイールの上でぐらぐらするようでしたら、
シェードのリング部分に半田が出っ張っていてホイールと干渉している可能性があります。
その場合、半田をカッターナイフや鑢で削り取るか、ホイールとシェードとの間に紙を詰めるなどして、安定させてください。
次にキャップをかぶせ、最後にぎぼしを頂上から締めて固定してください(強く締め付けすぎないように注意してください)。
ぎぼしを差し込む時、キャップからのニップルの出シロが長すぎても、短すぎても、うまく締まりません。
問題がる場合は、ニップルをハープに固定する段階に戻って、長さを調節してください。
目出度く、ティファニーランプ「クローバー」の完成です。
お疲れ様でした。地震等で倒れないように、設置の仕方に注意してくださいね。